事例

スマートベッドシステム™導入事例

長野県厚生農業共同組合連合会 佐久総合病院

長野県厚生農業共同組合連合会 佐久総合病院_イメージ

長野県厚生農業共同組合連合会 佐久総合病院

  • 所在地/長野県佐久市臼田197番地
  • 手術件数/1,250件(2018年度)
  • 看護体制/10:1
  • 救急指定/2次救急
  • 年間救急車受け入れ台数/882台(2018年度)
  • その他特徴/一般病棟3病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟・精神科病棟・人間ドック・健康管理センター・老人保健施設・訪問診療・訪問看護・宅老所などを有する地域密着の病院
対策状況

スマートベッドシステム™を導入し重傷事故ゼロを達成

  • 離床CATCH付ベッドを導入
  • CareSCAN(体動センサー)を導入(北病棟3階)
  • 認証自動ドアを導入
  • 新型ナースコールを導入置
  • 従来のシステムと機器の使用を中止(北病棟3階)
  • リハビリスタッフの協力を得る運用ルールの変更
背景

新棟移転時に新システムを導入

2017年までの病棟では、マットタイプや衣類につけるクリップタイプのセンサーを使用し、ナースコールはステーションにのみ通知されるものだった。佐久総合病院グループの再構築にあたり、佐久総合病院は同年5月に新棟に移ることとなったため、これまでの設備やシステムを見直し、離床CATCH付ベッド、CareSCAN(体動センサー)、ベッドサイド端末などを統合したスマートベッドシステム、PHSに通知できる新型ナースコールなどを導入した。

新棟移転時に新システムを導入化_イメージ
目的

転倒転落事故と看護師の業務負担を減らす

  • 入院患者の重傷事故をさらに減らす
  • 患者の抑制をせずに転倒転落事故を減らす
  • 看護師のアセスメント能力の差を少なくする
  • 従来の離床センサーの、取り付けや取り外しによる
    看護師の業務負担を軽減する
転倒転落事故と看護師の業務負担を減らす_イメージ
対策

新棟に移転する機会に設備と対策を大幅に変更

2017年5月の新棟移転時に、転倒転落対策の強化と、患者の抑制をしないことを目標に、設備の更新(新システムや機器の導入)と対策の変更を行った。

設備の更新

新棟に移るタイミングで設備を更新した。

  • 離床CATCH付ベッドを導入(各病棟5~6台)
  • 新型ナースコールを導入(PHSに通知できるもの)
  • 北病棟3階は全床に離床CATCH付ベッド、CareSCAN(体動センサー)、ベッドサイド端末を導入
  • 病棟の出入り口に認証しないと開かない自動ドアを導入
設備の更新

設備の更新に合わせて、転倒転落対策を変更した。

  • 転倒リスクの高い患者、自立度の変わる患者には離床CATCHを優先的に使用
  • 北病棟 3階は、マットタイプやクリップタイプの離床センサーの使用を止め、
    離床CATCHのみを使用することに変更
スマートベッドシステムの概要
留意点

情報の共有や運用ルールの見直しを徹底化

新旧システムの混在による煩雑化を防ぐ

現場では使い慣れているものを使用しがちだが、複数の機器やシステムが混在すると看護師の業務も煩雑になるため、全床に離床CATCH付ベッドを導入した北病棟3階ではそれまで使用していたマットやクリップタイプの離床センサーを使用しないことにした。

新体制のメリットを医療関係者で共有

新たな機器の使用方法だけでなく、旧システムから新システムに移行することのメリットを、医療従事者全体で共有して運用を開始した。

無駄鳴り軽減のため運用のルールを変更

不要な離床通知の無駄鳴りを軽減するために、リハスタッフが離床CATCHの通知ON/OFFを変更できるように運用のルールを変更した。

結果

アセスメント能力が向上し重傷事故ゼロを継続できた

【スマートベッドシステムを導入した北病棟3階】
  • 病床で離床CATCHの通知設定を簡単に変更できるため、センサーを交換する手間がなくなり、患者の状態に合わせた通知設定が可能になった。
  • 通知設定を簡単に変更できるため、看護師が患者の転倒転落アセスメントをする頻度が上がり、転倒転落に対する意識が向上した。
  • 離床の通知がPHSに通知されるようになったため、すぐに患者の元へ駆けつけられるようになった。
  • 患者の睡眠状況を把握して、夜間覚醒している患者に注意を払うことができるようになった。
  • ベッドサイド端末でバイタルサインの入力等の業務ができ、患者の近くにいる時間が増え、患者や家族とのコミュニケーションも増えた。
入院患者の転倒転落による損傷発生率(レベル4以上)
【その他の病棟】
  • 病複数の通知設定が可能な離床CATCH付ベッドを、どの患者に使用するべきかアセスメントするようになり、看護師の転倒転落に対する意識が向上した。
【病院全体として】
  • 離床CATCHやスマートベッドシステムを導入して以降、看護師のアセスメントの頻度が増えアセスメント能力が向上し、重傷事故ゼロを継続できた。
  • 適切なタイミングで離床の通知がPHSに通知されることで、患者の見守りができているという安心感が生まれた。
ポイント
  • 離床の通知設定が簡単に変更できるようになり、アセスメントの頻度が増え、その能力が向上。
  • 新しい機器・システムを導入したタイミングで、それを上手く活用するためには、
    関わる業務の運用を見直すことも必要。
  • 病棟の看護師の頑張りに頼るだけでなく、新しい機器やシステムを活用した対策も検討。
今後の目標と方針
新しい機器やシステムの運用改善を行い、転倒転落事故を防ぐ

システムの導入により早期にリスクを発見できるという安心感が得られた。また患者の動きに合わせた通知の設定を看護師が簡単に変更できることで、看護師のアセスメント能力が高まる結果となった。今後は、多職種間の情報も生かした事故防止対策や、ワーキンググループを通じた学習による運用改善を行い、そのメリットを生かして、不要な抑制をせずに転倒転落事故を防いでいくことを目指す。

佐久総合病院 統括看護部長 關 真美子 氏

佐久総合病院 統括看護部長 關 真美子 氏

重篤な転倒転落事故ゼロの結果を、維持していきたい

今まではナースコールが鳴っても、一度勤務室に戻らなければ何がどこで起こっているかも分からない状態だったので、不安がとても大きかったのです。高齢の患者さんが多いため、少人数で予期しない夜中の容体急変などをカバーするのも心配でした。しかし新システムを導入した病棟では、CareSCAN(体動センサー)やベッドサイド端末と連動しているため、これまでとは動線もまったく違い、生体モニターを装着していない患者さんもタイムリーに状態変化を把握することができます。ナースコール増加による負担もありますが、ベッドサイドでの活動を見直す契機となり、重篤な転倒転落事故ゼロを達成して、安心感も得られるようになりました。この結果を維持していきたいと思います。

佐久総合病院 副看護部長 村上 好枝 氏

佐久総合病院 副看護部長 村上 好枝 氏

患者さんを抑制せずに事故を減らすことを目標に

この新システムは、計画から関わったスタッフが、その後に起こり得ることを理解した上で協力してくれましたので比較的スムーズに導入や運用が可能になりました。CareSCAN(体動センサー)の入った病棟では、患者さんの睡眠を意識するようになり、特に無呼吸のある患者さんを把握できることが画期的でした。また私が以前に勤務していた精神科では転倒転落のヒヤリハットも多かったのですが、抑制すると患者さんの自立も阻害されますので、抑制以外の方法で重大な事故を防ぐことができるのはすごいことだと思います。人手が足りない部分は機械やシステムを活用することも必要だと思いますので、経験を生かしてシステムの運用を改善し、できる限り抑制をしない対策を行うつもりです。

佐久総合病院 医療安全管理者 丸山 美鈴 氏

佐久総合病院 医療安全管理者 丸山 美鈴 氏

全職種からの問題提起を促していきたい

私の場合、2017年まで病棟師長で、それから医療安全管理者という立場になりました。医療安全に関しては1999年の「医療安全元年」と言われるころから、年々、医療関係者の意識も高まってきました。それまでは看護部の中だけでやっていた対策も、いまでは多職種の連携が求められています。例えば、転倒の事故の場合にも、その原因や予防策まで探るとなると、立場や見方によって異なる見解が出てきますので、異なった職種間での情報共有がことのほか重要です。代表的事例や周知を図るべきことを月に1回報告して病院内で回覧していますが、先々には有用な分析と対策に役立てるために「全職種からの問題提起」なども提案したいと考えています。

RoomT2 杉山より

RoomT2 杉山より

物的対策の有効性を示す好事例

転倒転落対策において、現場の看護師の頑張りに頼るだけではなくナースコールや離床センサーなどのシステムやモノを整備することも非常に重要です。またそれらを活用するための運用方法を決めることも同様に重要です。新棟移転時に上記の両方を実施した結果、看護師のアセスメントの頻度が上がり意識が向上したというのは非常に良い事例だと思います。重傷事故ゼロを継続できるよう、さらなる改善に期待しています。